2022年12月11日 主日礼拝説教

《 愛によって新しくなる 

ゼファニヤ書 3:14~18

娘シオンよ、喜び叫べ。イスラエルよ、歓呼の声をあげよ。娘エルサレムよ、心の底から喜び躍れ。主はお前に対する裁きを退け、お前の敵を追い払われた。イスラエルの王なる主は、お前の中におられる。お前はもはや災いを恐れることはない。その日、人々はエルサレムに向かって言う。「シオンよ、恐れるな。力なく、手を垂れるな。お前の主なる神はお前のただ中におられ、勇士であって勝利を与えられる。主はお前のゆえに喜び楽しみ、愛によってお前を新たにし、お前のゆえに喜びの歌をもって楽しまれる」わたしは、祭りを祝えず苦しめられていた者を集める。彼らはお前から遠く離れ、お前の重い恥となっていた。 (ゼファニヤ書 3:14~18)

神さまは、かつて神の民イスラエルに憤りました。それは、主に信頼せず、神に近づこうとしなかったからです(ゼファニヤ3:1、ホセア2:7-15)。豊かな実りや、自らの手で形作ったものに、心惹かれて、神から離れ、その罪を指摘する神の声には耳を傾けず背を向けて神に近づこうとしなかった民を、愛によって新しくし喜ばれます。

「新しくする」(17節)と訳された言葉は、ヘブライ語の聖書では「黙らせる」となっていて「安らぎを与える」と訳している聖書もあります。新共同訳聖書では、ギリシア語訳の聖書からとって「新しくする」という言葉が使われているようです。

愛によって、黙らせる

イエス・キリストの誕生に先立って、洗礼者ヨハネの誕生が予告された時、その父ザカリアは、黙らせられました(ルカ1:5-25)。それは、時が来れば実現する主の言葉を信じなかったからです。神さまは、ザカリアの若い時に祈りを聞いていました。けれども、ザカリアとしては、自分の願いは聞かれなかったかと思い、それなりの生活をしていましたので、願いが聞き入れられたというのに、ザカリアからは、主の言葉を信じない理由ばかりが口をついて出てきました。神さまは、黙らせ、ザカリアは、黙って主の言葉が実現するのを待つことになりました。

愛によって、新しくする

ヨハネが誕生し、主の言葉が実現したとき、ザカリアは、信じない理由ばかりを語る彼ではなくなりました。黙っている間に、新しくされたのです。

神さまは、時にわたしたちを黙らせます。かつて神の民がバビロン捕囚を経験したように、言葉を失うことを経験させます。神の御子イエス・キリストの十字架は、まさに言葉を失う出来事です。あなたのために、主が命を捨ててくださったと言われても、「感謝します」という言葉だけでは言い尽くすことはできず、なんて応えたらいいのか、分かりません。しかし、主は、わたしたちが黙ってしまうことをして、わたしたちを新しくされます。新しいあなた、イエス・キリストに結ばれて生きるあなたに神が、望んでおられることは、喜び、祈り、感謝することです(1テサロニケ5:16-24)。

神さまは、新しくなるあなたを楽しみ、小躍りして、喜んでおられます。主は、神の民が新しくなる時、災いをくださないとは、言われず、「お前はもはや災いを恐れることはない」と言いました。十字架で死に勝利する主が、わたしたちのうちにいてくださいます。主を礼拝することができず、苦しめられていた者たちを主が集められます。

《祈り》

愛する主イエス・キリストの父なる神さま。あなたは、ときにわたしたちの目に恐ろしく見えることや、言葉を失うことをなさいます。そのようなとき、あなたがわたしたちを新しくされようとしていることを覚えさせてください。わたしたちから恐れを取り去って、主にあって喜びと祈りと感謝に生きることができるようにしてください。主の御名によって祈ります。アーメン。

(2022/12/11 アドヴェント第三主日 橋本いずみ)