2023年10月15日 主日礼拝説教

《 新しい墓 

ヨハネによる福音書19:38~42

その後、イエスの弟子でありながら、ユダヤ人たちを恐れて、そのことを隠していたアリマタヤ出身のヨセフが、イエスの遺体を取り降ろしたいと、ピラトに願い出た。ピラトが許したので、ヨセフは行って遺体を取り降ろした。そこへ、かつてある夜、イエスのもとに来たことのあるニコデモも、没薬と沈香を混ぜた物を百リトラばかり持って来た。彼らはイエスの遺体を受け取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料を添えて亜麻布で包んだ。イエスが十字架につけられた所には園があり、そこには、誰もまだ葬られたことのない新しい墓があった。その日はユダヤ人たちの準備の日であり、この墓が近かったので、そこにイエスを納めた。

(ヨハネによる福音書19:38〜42)

神の御子イエス・キリストの体は、墓に納められました。十字架にかけられ死んだイエス・キリストの遺体は、丁重に扱われ新しい墓に葬られました。

墓には、幾つかの遺体が入れられるのが普通のことでしたが、まるで前もってイエスさまがこの日葬られるために用意されていたかのように、安息日に入るまでの限られた時間の中で、葬ることができるように、新しく岩を掘って作った墓が用意されていました。

「新しい」というのは、「未使用の」「用意されたばかりの」「今までなかった」という意味です。墓イエスさまによって、墓は、これまでとは違った、これまで知られていなかった新しいものになります。古い墓は、多くの遺体が横たわるところでした。全ての生きていた人が死んで最終的に行き着くところ。

人となった神は、こうしてこの世に別れを告げ、丁重な葬りがなされて墓に納められ、すべてが終わったかのように、書かれています。新しい墓が用意されていたのは、神さまの深い配慮によるものでした。主イエス・キリストが納められた新しい墓は、神の栄光が輝くところになります。神の御子イエス・キリストによって墓は、新しい墓になるのです。

処女マリアから、御子は生まれたように、キリストは誰もまだ葬られたことのない新しい墓から眠りについた人たちの初穂となって復活されるのです。

神の御子は、この地上に身を置き、すべて地上に生きる人が最後に行き着く墓に、納め(置かれ)ました。イエスさまは、その命を置く(捨てる)と語っておられました。「良い羊飼いは、羊のために命を捨てる」(ヨハネ10:11)「命を再び受けるために捨てる」(10:17)「友のために自分の命を捨てる」(15.13)と語っておられました。主は、そのお言葉どおりに、墓にご自分の命を置かれ、そのことによって、わたしたちは愛を知りました。(1ヨハネ3.16)

イエスさまが葬られた墓は、庭園にありました。イエスさまは、神の国は、からし種に似ていると言い、庭に蒔かれたからし種は、成長して木になり、その枝には空の鳥が巣を作ると言われています(ルカ13.19)。

イエスさまは、死んで園の墓に葬られました。イエスさまが葬られた墓は、神の最も偉大な奇跡が行われるところとなり、死から命を生み出すところになり、大きな木が育って、鳥たちが憩うところとなります。新しい墓で神は栄光を示されます。

《祈り》わたしたちの救い主イエス・キリストの父なる神さま、あなたは、主が墓に納められたとき、不思議な配慮を持って新しい墓を用意されました。あなたは、主が死なれた時にも、あなたの栄光が現れるようにと働いておられました。イエスさまが、死んで葬られ、死から命に至る道を切り開いてくださいました。復活の初穂キリストによって、私たちを生かしてください。主の御名によって祈ります。アーメン。

(2023年10月15日 橋本いずみ)