2024年8月11日 主日礼拝説教

《 タラントン  神さまがくださった力 》

マタイによる福音書25:14~30

天の国はまた次のようにたとえられる。ある人が旅行に出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた。それぞれの力に応じて、一人には五タラントン、一人には二タラントン、一人には一タラントン預けて旅に出かけた。…さて、かなり日がたってから、僕たちの主人が帰って来て、彼らと清算を始めた。まず、五タラントン預かった者が進み出て、ほかの五タラントンを差し出して言った。『御主人様、五タラントンお預けになりましたが、ご覧ください。ほかに五タラントンもうけました。』主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』(マタイ25:14-15,19-21)

今日から1泊2日で夏期学校が行われます。夏期学校のテーマは「タラントン 神さまがくださった力」です。今日読んだ聖書の箇所は、イエスさまが、オリーブ山に座っているときに、弟子たちにお話しされた言葉です。イエスさまが捕えられて十字架にかかる直前のことでした。イエスさまが十字架にかかって復活されることで、主イエスさまと弟子たちの関係は変わっていきます。これまでは、イエスさまは、目に見える形で弟子たちと一緒にいてくださいましたが、イエスさまは天に挙げられ、弟子たちは、地上に残ります。そんな時に、お話しされたことの一つが今日読んだ聖書のお話しです。

主人は、僕に自分の財産を預けて旅に出ました。僕は、5タラントン、2タラントン、1タラントンを預かりました。5タラントンと2タラントン預かった人は、商売をしました。けれども、1タラントン預かった人は、それを地に埋めておきました。主人が帰って来ました。5タラントン預かった人は、他にもうけた5タラントンを主人に差し出します。主人は、「でかしたぞ!良い忠実な僕よ、お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ!」と言いました。2タラントンの人も同じでした。しかし、1タラントン預かって地に埋めた僕は、「悪い、怠け者の僕だ。」と叱られました。

1タラントンというのは、聖書に出てくる一番大きな貨幣の単位だいたい20年働いて稼げる金額です。重さでいうのであれば、一人の人が運ぶことのできる延べ棒の重さ(30-40kg)です。1タラントンは、何かやってみるにしては十分な額です。1タラントン預かった人は、主人が自分に少なくないものを預けてくださったということよりも、主人との関係で言うのであれば主人がどうして自分にこれを預けたのかを考えるのではなく、自分の身の安全を考え、他人との比較の中で卑屈になって、ただ時が過ぎるのだけを待ち、主人は「厳格な(ひどい、酷な)人だと知っていた」と言うのです。蒔かないところから刈り取り、散らさないところからかき集めるというのは、確かに主人も認めています。イエスさまがふたたびきてくださる終わりの時に、すべてのものが刈り入れ、集められるのです。1タラントン預かった人は、主人はひどいと思っていた。5タラントン、2タラントン預かった人は、主人が自分たちに託してくださったことを受けとめて、分に応じて働きました(1ペトロ4:10)。主人が託したものには、違いがあります(1コリント12:4-26)。しかし、イエスさまは、次に会う時には、一緒に喜びたいと思って、どの人にも、これでは少なすぎるとは言えないほど大きな力と賜物を預けてくださっています。

【祈り】天の父なる神さま、神さまがイエスさまを通して、わたしたちにあなたの力を分け与えてくださっていることを感謝します。他の人と比べると自分の方が少ないと悲しくなることがありますが、イエスさまが一緒に喜びたいと思ってわたしたちにいろんな力をくださっていることをいつも覚えておくことができるようにしてください。今週もそれぞれのところで、神さまがくださった力を使って、神さまが一人一人を大切にしてくださっていることを表していくことができるようにしてください。主の御名によって祈ります。アーメン。     (2024年8月11日 橋本いずみ)