《 信仰によって、約束の地へと 》
信仰によって、人々はまるで陸地を通るように紅海を渡りました。同じように渡ろうとしたエジプト人たちは、おぼれて死にました。信仰によって、エリコの城壁は、人々が周りを七日間回った後、崩れ落ちました。信仰によって、娼婦ラハブは、様子を探りに来たものたちを穏やかに迎え入れたために、不従順なものたちと一緒に殺されなくて済みました。(ヘブライ11:29-31)
ラハブという女性が出てきました。新約聖書(マタイ1:5)では、ルツの夫であるボアズの母として、イエス・キリストの系図に登場しています。彼女は、信仰の創始者であり完成者である主イエス・キリストにつながる一人です。
ラハブは、娼婦、遊女でした。彼女にも、父母、兄弟姉妹、連なる人々がいました。モーセの死後、ヨシュアが神の民を導きました。ヨシュアは、かつてカナンの土地に偵察に行き、怖気付くイスラエルの人々の前で、主がこの土地に導き入れてくださると言うことを語りました(民14:5−10)。そして、ヨシュアは、ヨルダン川を渡る前に、二人の偵察隊を派遣します(ヨシュア1-2章)。そこで、偵察隊の二人は、ラハブの家に入って、彼女にかくまってもらいました。その時に、ラハブは「主がこの土地をあなたたちに与えられた。…あなたたちの神、主こそ、上は天、下は地に至るまで神であられるからです」(ヨシュア2:8-11)と言いました。偵察隊の二人とラハブは約束を交わし、彼女と連なる者たちは、エリコの城壁が崩れ去った時に、救われました。ラハブは、イスラエルから見れば、外国人の遊女でしたが、神の民、信仰共同体の一員として覚えられることになりました。
モーセに率いられ信仰によって紅海を渡ったように、ヨシュアとともに、人々はヨルダン川を渡り、神の約束の地、乳と蜜の流れる土地に入って行きました。それまでは、マナを食糧としていましたが、カナンの土地で取れたものを食べるようになりました。エリコの人々は、城門を閉ざ
していました。そこで、神さまは、ヨシュアに、主の箱を担いで、町の周りを回るように命じられました。七日目に角笛が鳴り渡り、鬨の声をあげると、閉ざされていた城壁が崩れ落ちました。ヨシュアは、民に向かって、「滅ぼし尽くすべきものを欲してはならない。滅ぼし尽くすべきものをかすめとって、イスラエル全体を滅ぼすような不幸を招かないように」と言いました。
閉ざされていた町の城壁は崩れ去った。神さまは、閉ざされたところを崩される。エリコの町も神さまに造られた世界の一部でした。しかし、そこは、城壁によって閉ざされていた。入れない領域となっていた。神さまは、隔てを崩されました。エリコもまた神さまの領域となった。イエスさまは、地に落ちて(崩れ落ちて)死んでくださいました。イエスさまは、自ら崩れ落ちて、私たちにイエスさまと連なって、神とともに生きる命を与えてくださいました。
《祈り》 自分の力では、決して取り除くことのできなかったあなたとわたしを隔てる壁を、イエスさまが、崩れ落ちて、取り除いてくださいました。あなたの救いの御心が行き届かないところはないことを知りました。恵みと救いの神さまの御心をあらわしてください。神さまが、救いの計画を進めておられることを覚えつつ、あなたの祝福の約束が、わたしたちの心の中に、生活の場に、わたしたちの家族や連なる人たちに、行き渡るようにしてください。主の御名によって祈ります。アーメン。(2025年6月15日 橋本いずみ)