2021年9月19日 主日礼拝説教

《 あなたがたの父は誰か 

ヨハネによる福音書 8:39〜47

イエスは言われた。「神があなたたちの父であれば、あなたたちはわたしを愛するはずである。なぜなら、わたしは神のもとから来て、ここにいるからだ。わたしは自分勝手に来たのではなく、神がわたしをお遣わしになったのである。わたしの言っていることが、なぜわからないのか。それはわたしの言葉を聞くことができないからだ。あなたたちは悪魔である父から出たものであって、その父の欲望を満たしたいと思っている。悪魔は最初から人殺しであって、真理をよりどころとしていない。彼のうちには真理がないからだ。悪魔が偽りを言うときは、その本性から言っている。自分が偽りものであり、その父だからである。しかし、わたしが真理を語るから、あなたたちはわたしを信じない。あなたたちのうち、一体誰が、わたしに罪があると責めることができるのか。わたしは真理を語っているのに、なぜわたしを信じないのか。神に属するものは神の言葉を聞く。あなたたちが聞かないのは神に属していないからである。」(ヨハネ 8:42-47)

わたしたちは、神さまに向かって「父よ」と呼び掛けます。イエスさまが、神さまに「父よ」と呼びかけることを教えてくださったからです。わたしたちは、イエスさまを抜きにしては、神さまに「父よ」と呼び掛けることができないものでした。イエスさまがおられなければ生きることができないと、イエスさまを信じて、洗礼を受け、イエスさまによって、神さまの子どもにしていただきました。

今日読んだ聖書に出てくる「彼ら」「あなたたち」というのは、「ユダヤ人」(8:31)のことです。ヨハネによる福音書では、ユダヤ人は、イエスさまに反対し、イエスさまが神の御子であるということを受け入れない者たちの典型として登場します。

彼らは、アブラハムを父とし、ただ一人の父として神を持っており、神からの祝福を受け継ぐものであると思っていました。しかし、彼らの行いを支配していたのは、アブラハムが行った業でもなければ、神がおっしゃっておられることでもない。別の父、すなわち自分の父に従い、悪魔の支配の中で行われていることであるとイエスさまは告げます。

彼らが、何に支配されているか、イエスさまは、よく見抜いておられます。彼らが神の言葉を聞くことができず、それを行うことができず、かえって神と敵対するものの言いなりになっているのは、彼らが悪いわけではなく、悪魔の支配の中にいるから、悪魔の子だからです。悪魔は、神とわたしたちを引き離し、神の言葉を聞かせず、真理に敵対し、神に造られたものを破壊します。

わたしたちは、神から離れていると感じる。わたしたちの行いを決定づけているのが、神の言葉ではないことがある。神さまがイエス・キリストをお与えになるほどに世を愛しておられるという真理が分からない、神が造られたものをダメにしてしまいます。悪魔の子であるわたしたちを救ってくださるのは、イエス・キリストしかおられません。イエスさまを抜きにしては、わたしたちは皆、悪魔の子としてこの世を生きるしかありません。

しかし、神さまは、わたしたちが悪魔の子として生きるのではなく、真実に神の子として生きるために、御子イエス・キリストをお送りくださいました。わたしたちは、キリストにあって神の子です。それゆえに、大胆に神に近づくことができます。あらゆる決断をするときに、神の言葉に聞きます。神がイエス・キリストを通してこの世を新しくされること、神の造られた世界の美しさを知り、それが保たれることを願います。

《祈り》天の父なる神さま。御子イエス・キリストによって、親しくあなたに呼びかけることができるようになり、混沌した世界と私たちですが、あなたが最善をなしてくださっていると信じることができることを感謝します。わたしたちの行いをキリストのご支配の中においてください。神の言葉によって、福音の真理を示し、それに従って歩ませてください。主の御名によって祈ります。アーメン。

(2021年9月19日 橋本いずみ)