2023年2月12日 主日礼拝説教

《 しかし、勇気を出しなさい》
ヨハネによる福音書 16:25〜33
弟子たちは言った。「今は、はっきりとお話になり、少 しもたとえを用いられません。あなたが何でもご存じ で、だれもお尋ねする必要のないことが、今、分かりま した。これによって、あなたが神のもとから来られたと、 わたしたちは信じます。」イエスはお答えになった。 「今、ようやく、信じるようになったのか。だが、あなた がたが散らされて自分の家に帰ってしまい、わたしを 一人きりにする時が来る。いや既に来ている。しかし、 わたしはひとりではない。父が、共にいてくださるから だ。これらのことを話したのは、あなたがたが、わたし によって平和を得るためである。あなたがたには世で 苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に 世に勝っている。」(ヨハネ 16:29-33)
弟子たちは、「主イエス・キリストが神のもとからこら れたと信じます」と言いました。弟子たちとともに歩ん でくださったイエスさまは、父のところから出て(先 在)、この世に来て(受肉)、この世を去って(十字架 と復活)、父のところに帰られる(栄化)神の御子で す。弟子たちは、イエスさまの言葉と行いによって、そ のことを見聞きして、従うものとなりました。チグハグ なやりとりは、弟子たちが分かっていないことを明ら かにしてきたのですが、弟子たちは、イエスさまにはっ きりと告げられて、主がどのような道を歩まれている のかがわかり、信じるようになりました。「今ようやく、 信じるようになったのか」とおっしゃっていますので、 ずっと話してきたことが、やっと通じたという喜びがあ ったかもしれません。弟子たちが、理解し、信じるよう になったところで、主は、「時が来た」と言います。
父なる神さまと御子イエス・キリストと弟子たちとこ の世の関係は、新しい関係へと進んでいくことになる のです。御子イエス・キリストが来るまでは、父なる神 さまと弟子たちは、結びついていませんでした。しかし、 主がこの世に来られて、父なる神さまは、弟子たちを
愛し、弟子たちは、イエスさまによって神に「父よ」と直接願 うことができるようになりました。弟子たちは父なる神さま との関係を与えてくださる主イエス・キリストを理解し、信じ たのです。そして、主は、十字架と復活という、次の時(弟 子たちと別れて、一人になる時)へと進んで行かれます。
弟子たちは、主がどのような道を歩んでおられるのかを 知って、信じて、主の十字架と復活のときを過ごします。弟 子が、イエス・キリストが、「わたしの主、わたしの神」である と信じて告白するのは、主が復活した後のことですが(ヨ ハネ 20:28)、今、この時、主がどのような道を進んでおら れるのかを知って信じていることが、復活の主に出会った 時に信仰を告白するために必要なのです。
主イエスは、次のフェーズへと移行していくその時に、弟 子たちを「あなたがたには、世で、苦難がある。しかし、勇 気を出しなさい」と励まされました。弟子たちが生きなけれ ばならない世、苦難がある世は、主の力の及ばないところ ではなく、主が既に勝利しておられるところだからです。
《祈り》
天の父なる神さま。主は、私たちの救いのために、父の元 からこの世に来られ、十字架と復活を経て、天に帰られま した。イエス・キリストは、昨日も、今日も、また永遠に変わる ことのない方です。弟子たちに、勇気を出しなさいと励まし てくださった主が、今日、わたしたちを励ましてくださること を感謝します。この世にあって、あなたの勝利を仰ぎ見させ てください。悪の力にあなたが勝利されるのをほめたたえ させてください。主の御名によって祈ります。アーメン。
(2023/2/12 橋本いずみ)