2020年10月4日主日礼拝説教

《 あの方は栄え、わたしは衰えねばならない 》

ヨハネによる福音書   3:22~36

ヨハネは答えて言った。「天から与えられなければ、人は何も受けることができない。…だから、わたしは喜びで満たされている。あの方は栄え、わたしは衰えねばならない。」

「上から来られる方は、すべてのものの上におられる。地から出るものは地に属し、地に属するものとして語る。天から来られる方は、すべてのものの上におられる。この方は、見たこと、聞いたことを証しされるが、誰もその証しを受け入れない。その証しを受け入れるものは、神が真実であることを確認したことになる。神がお遣わしになった方は、神の言葉を話される。神が“霊”を限りなくお与えになるからである。

(ヨハネによる福音書 3:27〜34)

 

あの方は栄え、わたしは衰えなければならない

 洗礼者ヨハネは、わたしは喜びで満たされていると語ります。ヨハネは、自分は衰えていくにも関わらず、喜びで満たされていると言うのです。

ヨハネのもとには、多くの人が集まり、ヨハネは、人が神さまの前で悔い改めて、清められて生きていくのを見ていました。しかし、この活動は、いつまでも続くものではなく、衰退していく。活動だけでなく、ヨハネ自身も衰退していくというのです。それが、神さまの定めであると。

それでも、洗礼者ヨハネは喜んでいるのです。なぜかというと栄えるべきお方を知っているからです。

「栄える」と訳されている言葉には、「増大する」「成長する」という意味があります。種まきのたとえで(マルコ4.8)は、御言葉がまかれて、神の国が成長していくたとえに用いられている言葉です。

ヨハネが証言し、必ず栄える「あの方」は、天から遣わされてきた神の御子イエス・キリストです。あの方は栄えなければならない。多くの人に名を知られ、このお方によってすべての人は救われることになる。

「衰える」という言葉は、「低くされる」という言葉で訳されます(ヘブライ2.7,9)。主イエスが低くなってくださったゆえに、わたしたちは、衰えなければならない存在だとしても、そこに喜びを見出すことができます。

むなしくは、戻らない

 神の御子イエス・キリストは、天から遣わされてきて神の言葉を語られます。「雨も雪も、ひとたび天から降れば、むなしく天に戻ることはない。それは大地を潤し、芽を出させ、生い茂らせ、種蒔く人には種を与え、食べるものには糧を与える。そのようにわたしの口から出るわたしの言葉も、むなしくはわたしのもとに戻らない」(イザヤ55.10-11)御子を遣わした神は、御子を信じる者たちに尽きることなく“霊”を注いでくださいます。

《祈り》

天から降り、天に昇られた主イエス・キリストの父なる神さま。わたしたちは、衰えていきます。 しかし、あなたがこの衰えるしかないわたしたちに目を留めてくださいました。限りなく“霊”を注ぎ、大地を潤すように、飢え渇いた魂に潤いを与えてくださることを信じます。神の御子イエス・キリストの御名が多くの人に知られ、その名があがめられますように。主の御名によってお祈りします。

アーメン。       (2020年10月4日 橋本いずみ)