2020年9月6日主日礼拝説教

《 新しく生まれる 》

ヨハネによる福音書   3:1~15

さて、ファリサイ派に属する、ニコデモという人がいた。ユダヤ人たちの議員であった。ある夜、イエスのもとに来て言った。「ラビ、わたしどもは、あなたが神のもとから来られた教師であることを知っています。神がともにおられるのでなければ、あなたのなさるようなしるしを、だれも行うことはできないからです。」イエスは答えて言われた。「はっきり言っておく。人は、新たに生まれなければ、神の国を見ることはできない。」

(ヨハネによる福音書 3:1〜3)

 

 

夜の訪問者ニコデモ

ファリサイ派に属するニコデモは、日が昇っている時には、主イエスを訪ねることができなかった夜の訪問者でした。主イエスが行われたしるしを見ており、神のもとから来られたお方であり、神が共におられると見ています。しかし、すでに、主イエスとユダヤ人たちの間には、対立があります。(ヨハネ2.13-20)。ニコデモは、最高法院の一員であり(7.48)主イエスと対立し、捕らえようとする人々の中にいます。主イエスは、この夜の訪問者に、永遠の命に至る道を示し、光を示されます(3.19)。主イエスとニコデモの対話の中で、主イエスは、「はっきり言っておく」(3、5、11節)と宣言しておられます。

神の国を見ることと新しく生まれること

主イエスのなさるしるしとその言葉につまずいていました。(Ⅰコリント1.17-25)。どうしても理解できなかった。隔たりがあることを理解し得ない壁、乗り越えられない溝。主イエスがなされていることと自分が今まで生きて来たときに知っているものと主イエスがなされ語られていることの違いを見ていました。

主イエスは、「人は新しく生まれなければ、神の国を見ることはできない」「だれでも水と霊とによって生まれなければ、神の国に入ることはできない」

ニコデモは、主イエスの語られることを自然の出来事として、受け取ろうとしている。主イエスが言っていることは馬鹿げたことに聞こえた。しかし、主イエスは、この世の闇に光をもたらし、人となられた神です。神の御子主イエス・キリストが来られた今、新しく神と共に歩む霊の人がこの闇の世に生み出されていくのです。

水と霊によって生まれる

水と霊とによって生まれる。これは、洗礼を暗示しています。洗礼の水は、神の恵みが人間に働き、語りかけ、人を捉える手段です。こうして、人は新しく生まれ、恵みの領域に移されます。神は人の思いを新しくし、その中に光を与えます。

霊は風のように

ギリシア語では、「風」と「霊」は同語です。風は捉えることができず、予測することができませんが、力強く、実在し、人は、それを知覚することができる。風と同じことが、水と霊によって生まれ変わった人々についても言えます。神さまは霊の声を聞き分けることができる人を生み出すために、主イエスを遣わし、霊が支配する共同体(教会)をお建てになりました。

《祈り》

教会の頭なる主イエス・キリストの父なる神さま。あなたは風を吹かせ、霊を注ぎ、教会をお建てになりました。霊の声を聞き分ける人を生み出してくださることを信じ、感謝します。主よ、わたしたちのうちに霊の実りを与えてください。主イエスの光でわたしたちを照らし、永遠の命に至る道を歩ませてください。主の御名によって祈ります。アーメン。

(2020 年 9 月 6 日 橋本いずみ)