2021年8月1日 主日礼拝説教

《 あなたを罪に定めない 

ヨハネによる福音書8:1-11

しかし、彼らがしつこく問い続けるので、イエスは身を起こして言われた。「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」そして、また、身をかがめて地面に書き続けられた。これを聞いたものは、年長者から始まって、一人また一人と、立ち去ってしまい、イエスひとりと、真ん中にいた女が残った。イエスは、身を起こして言われた。「婦人よ、あの人たちはどこにいるのか。誰もあなたを罪に定めなかったのか。」女が「主よ、だれも」と言うと、イエスは言われた。「わたしもあなたを罪に定めない。行きなさい。これからは、もう罪を犯してはならない。」(ヨハネ8:7-11)

神殿で語っているイエスさまのもとに、一人の女性が現行犯で捕らえられ連行されてきました。言い逃れができない罪を犯した女性が、一人連れてこられたのです。この女性が連れてこられたのは、主イエスを試して、口実を見つけるためのものでした。

イエスさまは、女性を訴え出て、主イエスを試そうとしている律法学者やファリサイ派人々に向かって答えることなく、女性を向いて断罪することもなく、何事もなかったように民に向かって話を続けるのでもなく、地面を見つめ黙ったまま何かを書き始めます。イエスさまの眼差しは、罪を断罪するためには、誰にも向けられないのです。

地面をみつめ黙ったままのイエスさまに、律法学者やファリサイ派の人々は、しつこく問い続けます。するとイエスさまは、「あなたたちの中で罪を犯したことのないものが、まず、この女に石を投げなさい」とお答えになりました。

これを聞いたものは、誰も、この女性に石を投げることができなかった。皆、自らの罪を思い起こして、黙って、去っていきました。そして、最後に残されたのは、イエスさまとこの女性だけでした。

 イエスさまは、やっと目をあげて女性に語りかけます。それは、罪を犯し続ける古い生き方を捨てて、もう罪を犯さないで生きるようになるためです。

イエスさまは、この女性を裁きませんでしたが、罪を好み、悪の行いを喜んでいるわけではありません。罪を憎み、悪の行いから、この女性を救い出すのです。

今日読んだ8:1−11は、この聖書の箇所には、括弧がつけられています。実は、この聖書の箇所が記されていない写本があるのです。さらに、ルカによる福音書21:38の後、十字架にかかられる直前の言葉として記されているものもあります。ヨハネによる福音書では、この後、イエスさまは、「あなたたちは肉に従って裁くが、わたしはだれをも裁かない。」(8:15)とおっしゃいます。イエスさまは、私たちが神の前で受けるべき裁きを身に負って、十字架にかかってくださいました。イエスさまは、裁かれるべき私たちと一緒に立ってくださる救い主です。

【祈り】

天の父なる神さま、あなたはわたしたちを裁くためではなく、わたしたちを救い、あなたのもとへと導くために、愛する御子イエス・キリストを遣わしてくださいました。わたしたちが罪深いものであることをあなたは知っておられます。人に隠してきた罪も、イエスさまの前では、隠しきれません。主よ、どうか、わたしたちを罪の奴隷から解放し、キリストの似姿へとつくり変えてください。主の御名によってお祈りします。アーメン。

(2021年8月1日 橋本 いずみ )